私の専門は、経営学、特に人的資源管理論という学問です。研究テーマは、ダイバーシティ&インクルージョンです。
日本企業ではまだ外国人や女性の管理職比率が低く、障がい者の雇用も限られています。しかし、人種、国籍、民族、年齢、性別、障がいの有無などにかかわらず、ダイバーシティ(多様性)あふれる人材を取り込むことで、創造性を生み出し、柔軟性を導入し、企業組織に競争優位をもたらすことができることが、海外の事例でも明らかになっています。
ダイバーシティ&インクルージョンは、持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)においても、重要な概念になっています。現在、SDGsの追求は世界的潮流です。SDGsの17の目標のひとつ、目標5では、ジェンダー平等 を実現し、すべての女性と女児のエンパワーメント(権限を与えること)を図ることを掲げています。また、目標8では、インクルーシブで持続可能な経済成長とすべての人びとのディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を促進することをめざしています。さらに、目標10は人びとや国の不平等をなくすこと、具体的には、年齢、性別、障がい、人種、民族、出自、宗教、経済的地位やその他状況にかかわりなく、すべての多様な人びとの社会・経済・政治的インクルージョンを促進することをめざしています。
このように、人びとがそのダイバーシティ(多様性)を認め、インクルージョン(包摂)されて共生・協働できる成熟社会を作っていくことは、今日グローバルに共鳴されている最優先課題です。
なお、以下は最近の著書です。ダイバーシティ&インクルージョンの視点から、雇用・人材開発を国際比較しています。日本のこれからの働き方と成熟社会の実現を模索するうえで、示唆に富んでいると存じます。ご関心をある方はご笑覧いただければ、幸甚です。
【最近の著書】
二神枝保編著(2020)『雇用・人材開発の日欧比較:ダイバーシティ&インクルージョンの視点からの分析』中央経済社(ISBN:9784502350719).
二神枝保・村木厚子編著(2017)『キャリア・マネジメントの未来図:ダイバーシティとインクルージョンの視点からの展望』八千代出版(ISBN:9784842917122).
【略歴】
横浜国立大学大学院国際社会科学研究院教授、京都大学経済学博士、日本学術会議連携会員、チューリッヒ大学客員教授、ILO(国際労働機関)客員教授、WHU客員教授、ボルドー・マネジメント・スクール客員教授、ケッジ・ビジネス・スクール客員教授。